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⾃社のSDGs/ESG対応に貢献するガバナンス体制構築・コンプライアンス活動とは︖

近年「SDGs(持続可能な開発目標)」と「ESG(環境・社会・ガバナンス)」という単語が世界中で語られるようになりました。国連では、SDGsを2030年までに各国が達成すべき17の目標として採択 し、同時にESGを意識した投資の実現を加盟各国に求めています。日本企業においても、自社のSDGs/ESG対応を海外まで含む社外に表明する動きが避けられなくなっています。実際、「海外の取引先からESGに関する具体的取組みを聞かれることが増えた」という企業が多いのも事実です。一方で、「SDGsが重要なテーマとは認識しているが、具体的な行動施策か明確ではない」「自社でSDGsの重要課題を公表しているが、ガバナンス体制やコンプライアンス活動との連携が充分ではない」という声も聞かれます。

そこで先ずは、経営層の方々自身が、改めて自社のビジネス活動とSDGs/ESGを結び付けて語れるようになり、そこからガバナンスやコンプライアンス活動とも連動して、実のある企業価値向上施策を動かすことが重要といえます。レクシスネクシス・ジャパン株式会社では、このたびSDGs/ESGに関するウェブセミナーを開催しました。SDGs/ESG対応に戸惑っている企業人が「ここからなら始められそう」と思える具体的な内容の法人向けセミナーです。ここでは、同セミナーの内容と当社が展開する、SDGs/ESGに対応したコンサルティングサービスについて紹介します。

SDGs/ESG対応の国内外の傾向

企業がESGに注⽬して⽇々の事業活動を展開することが、SDGsの⽬標達成につながっていくといわれています。日本でも、⽇本取引所グループが「ESG情報開⽰実践ハンドブック」などを公表しました。今後、プライム市場は特に海外投資家の注⽬も⾼いことから、日本の産業界においてもESGへの対応が一層求められるようになってくるといえるでしょう。

SDGsは3つの要素から

SDGsには、以下の3つの要素があります。

  • 環境保護
  • 社会的包摂(社会的弱者も含めて⼀⼈ひとりの⼈権を尊重すること)
  • 経済開発

この3項目は、いずれもビジネスに関わる事項です。これらを遵守している企業は、SDGsに対して実のある活動を行っている会社として広く認知されることになります。すなわち、SDGsを誠実に実行する企業は、国際社会の⼀員として認められ、同時に社会が認める企業のステータスに繋がるのです。

企業の法務・コンプライアンス部門に携わる皆さんは、ESGの「G」、すなわちガバナンスおよびコンプライアンスの面で、各種ルール遵守を基礎としつつ⾃社の「正しい」あり⽅を導く役割として、その存在の重要性が増しているといえるしょう。

ESGの具体的な取り組み例

ESGの具体的な取り組みには、以下に挙げる3つのキーワードの、それぞれのテーマに基づく企業活動が必要となります。

ESGの具体的な取り組み例  

Environment
環境

  • ITシステムの効率化・省電力化による環境負荷低減、エネルギー使用量削減
  • CO2の排出量の削減
  • 製造工程での廃棄物低減

Social
社会

  • サプライヤーの人権問題への配慮
  • ダイバーシティやワークライフバランス
  • 育児・介護休業の取得促進

Governance
ガバナンス

  • リスク管理体制の整備
  • 取締役の多様性
  • ステークホルダーへの公正・適切な情報開示

サステナビリティ推進活動と「ガバナンス」「コンプライアンス活動」を⾏う部⾨との間で連携が取れていますか︖

企業内で実際にSDGsを推進しようとする際、部⾨間連携の課題を解決する必要があります。たとえば「CSR推進部からサステナビリティ推進部へ名前を変えたが、活動内容は特に以前と変わっていない」「経営層からの指⽰が具体的でなく、サステナビリティ推進委員会もそれぞれの部門代表による単なる報告会になっている」などの問題が挙げられます。

このような「部⾨間連携の課題」の解決策としては、「⾃社のビジネスの意義」と「⾃社の社会とのつながり」について、それらの⽬的の定義付けを明確にすることが必要です。

また、サステナビリティ推進のための活動機能の定義として:

  • 会社として⼀つの⽅向に向かうための⽅法を具体化する
  • 重要課題の達成までの道筋を明らかにしたうえで実践する
  • 効果検証を元に活動レベルの向上を図る

これらを明確化して社員に伝えることが重要です。

SDGs/ESG対応にアラインしたガバナンス・コンプライアンス活動とは

企業が全社的にSDGs/ESGに対応し、アライン(合意形成)したガバナンスとコンプライアンス活動を実行するには、目的に応じた活動内容の整理と体制構築が必要です。

⾃社のマテリアリティ(重要課題)の把握とそれに対応したガバナンス体制構築・コンプライアンス活動の整理

企業内でSDGs/ESGに対応した体制構築とコンプライアンス活動の整理についてのマテリアリティ(重要項目)を以下に紹介します。

マテリアリティを把握

  • ⾃社の事業活動とSDGsの⽬標・ターゲットとの関連性を整理すること
    ┗ ⾃社の企業理念は何か︖
  • ⾃社の強みと社会に対して果たすべき役割を可視化すること
    ┗ ⾃社は社会にどのような影響を与えているか?

マテリアリティ対策

  • 今「できていること」と「できていないこと」を明確化すること
    ┗ 全社で取り組めることの洗出し
  • 各課題の社内における中⼼部署(オーナー)を決定する
    ┗ オーナーからの現状報告
    ┗ 社内での客観評価

ガバナンス体制構築・コンプライアンス活動の整理

  • 各重要課題の推進に役⽴つガバナンスのあり⽅を考えること
    ┗ 重要課題に対してリスクとなり得る項⽬を洗い出す
  • これまでの組織構成でリスクに対応できるかを考える
    ┗ リスク項⽬の評価と、現在⾏っている統制活動の効果から把握する

経営層は「⾃社のSDGs/ESG対応」を⾃分の⾔葉で語れていますか︖

全社的なSDGs/ESG対応の実現には、経営層の意識付けが重要なポイントといえるでしょう。

経営層の課題

  • 社会の潮流だからという視点になっていないか?
  • 抽象的な⾔葉で従業員に語っていないか?
  • ⽬的と背景の理解
    ┗ 経営層がSDGs/ESGの目的と背景を深く理解すること
  • 企業の価値評価の認識
    ┗ 企業の価値評価が変わってきていることを認識すること
  • ⾃社の企業理念に⽴ち返る
    ┗ 経営幹部が自分の言葉で従業員に方向性を示すこと

経営層課題の解決策

企業の経営層は、⾃社の重要課題の認識と⽅向付けを明確に従業員に示し、課題の達成への計画と推進の指揮を執らねばなりません。

経営層を対象とした研修

レクシスネクシス・ジャパンでは、SDGs/ESG対応にアラインしたガバナンス・コンプライアンス活動の実現のために、経営層を対象としたワークショップ型の研修を実施しています。以下にその内容を紹介します。

⾃社グループの⾏動規範から俯瞰する

  • ⾃社の企業理念、⾏動規範を改めて⾒直す
  • ⾃社の事業活動と⾏動規範各項⽬のつながりを整理する
  • ⾃社の事業活動とSDGsの各項⽬のつながりを整理する
  • 項⽬ごとの責任部⾨を整理して適切な組織体制になっているかを確認する

関連する法規制確認(ルールマッピング/リスクマッピング)

  • 各項⽬がどのような法規制や社会規範と結びついているかを把握する
  • ルール違反が⾃社におよぼすリスクについて理解する
  • リスクごとの適切な対処法を把握する
  • 各部⾨の体制・役割を確認し、ゴールを設定する
  • 先進的な他社の事例を学んで、⾃社に応⽤できる部分を探る

ケーススタディ

  • 各部⾨の体制・役割を確認し、ゴールを設定する
  • 先進的な他社の事例を学んで、⾃社に応⽤できる部分を探る

従業員⼀⼈ひとりの⽇々の担当業務に関わる⾃分ゴトになっていますか︖

SDGs/ESG対応の社内活動が、単なるお題目として形骸化することは絶対に避けなければなりません。すなわち、従業員の意識が「自分ゴト」になるようなシステムを構築することが重要といえます。

従業員側の課題を提起

SDGs/ESG対応活動をスタートするにあたり、以下の項目を従業員側の課題として提起しましょう。

  • SDGs/ESGが単なる「ニュースの話題」という意識になっていないか?
  • ⾃社の社会での存在意義を意識しているか︖
  • ⾃分の業務がどこにつながっているかを意識しているか︖

課題の解決策

  • ルール⽬線での活動であることを認識させる
  • ⽬的を明確に認識させる
  • 「テストで良い点数がとれればよい」という誤った認識を是正する

【事例】従業員への浸透度を測る実態把握調査

レクシスネクシス・ジャパンで実施している「従業員への浸透度を測る実態把握調査」の事例を紹介します。

⾃社グループの⾏動規範と重要課題に応じた質問設定

  • ⾏動規範の構成に合わせた確認項⽬の洗出し
  • 質問の分野を整理
  • 全従業員に関係する内容への整理
  • 重要課題に応じた回答選択項⽬の設定

アンケートの実施と集計

  • 部⾨ごと、グループ会社ごと、国・地域ごと、階層ごとなどのグループ別集計
  • 質問の分野ごとの集計

分析と施策検討

  • 全社の状況把握〜意識のレベル、知識のレベル
  • 強いグループと弱いグループの把握
  • 問題点の洗出し
  • 適切な対策の⽴案

リスク傾向の想定と対策

レクシスネクシスのコンプライアンスサーベイでは、グラフ化された「コンプライアンスリスク4象限」でリスクの傾向を分析し、以下1〜4の対策を⾏います。

  1. 「コンプライアンスへの感度」「固有ルールの理解」の掛け合わせにより、従業員特性を把握
  2. 特性把握に基づき、対応すべき優先度の⾼い層を特定
  3. 対象層にフィットする施策を実施
  4. PDCAサイクルを回し、課題の経年管理・改善を確認

調査後に、コンプライアンス活動の効果を測り、継続改善を促進するリスクマップを作成します。さらに、従業員への教育効果を⾼めるために、テーマ別のeラーニングを実施し、コンプライアンスハンドブックを配布して、従業員の意識を強化する内容です。

まとめ

⾃社のSDGs/ESG対応に貢献するガバナンス体制構築とコンプライアンス活動を有効に実行するには、全社一丸体制がなにより肝要といえます。経営層と従業員との役割分担は以下に示す通りです。

経営層の役割

まずは経営層がSDGs/ESG対応の⽬的を明確にして会社としての⽅向性を定めることが最も⼤事です。⾃社の重要課題を、経営層が経営課題と同等のものとして認識することと、社内の組織体制、ルール等にギャップがないかを確認し、対応の⽅向性を⽰す必要があります。また、各活動の年間計画策定に関わり、社内の連携を促進することが求められます。

従業員の在り方

従業員は、社内での業務上の⾏為の拠り所として、常に⾃社の⾏動規範に⽴ち戻りましょう。⾃社が⼤事にしている価値が社会に対して持つ意味を考えてみて、⾃分の業務がどこにつながっているかを意識することが大切です。

コンプライアンスサーベイには⾃然な感覚で回答し、事業の現場は⾃社の価値を⽣む場であり、リスク管理の起点であることを意識して⾏動しましょう。

関連情報

レクシスネクシス・ジャパンでは「経営層を対象とした研修」「自社のマテリアリティ(重要課題)の把握や、ガバナンス体制/コンプライアンス活動との連携に関するコンサルティング」「従業員への浸透度を測る実態把握調査」といった、お客様のニーズに合わせたサービスを提供しています。

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